地域デザインをめぐって vol.17 “和歌山”

第三回合同研究室会議 -京都大学景観研究室・山口敬太さんと

窪田 亜矢 + 萩原拓也 + 澁谷崇

 2016年9月13日〜14日にかけて、京都大学社会基盤工学専攻景観設計学分野の皆様と一緒に、合同研究室会議を湯浅で開催しました。

<参加メンバー>
京都大学景観研:山口敬太さん、木村優介さん、 岩本君・川崎君・水野君・木下君・朱君
地域デザイン研:窪田・萩原・益邑・柴田・伊奈・太田・澁谷・伊藤・永門・新妻

 京都大学景観設計学研究室との合同研究室会議は、3年連続3回目です。一人持ち時間30分で、発表と質疑、15時過ぎから、太巻きの夕食を挟みつつ、飲み会に展開しつつ、夜遅くまで議論は続きました。
 京都大学の皆さんの発表は、研究対象のディティールを明らかにすることに徹底的にこだわり、特に空間の変容など、揺るがない事実に立脚して論を展開するという姿勢が共通しており、学ぶべきことだと強く感じました。
 地域デザイン研の発表に対しては、それぞれの関心に基づいて、チャレンジしている姿勢を評価していただいたように感じます。

 翌日は、隣接する広川町に向かい、浜口梧陵が安政の大地震のあとに作った広村堤防や津波防災教育センター「稲むらの火の館」を回りました。

その後、3つのチームに別れて、思い思いの場所へ向かいました。

Aチームは、塩津を見学しに行き、蒼石で作られた塀などを見学したのちに黒江に行きました。
黒江は漆器で有名であり、400年以上の歴史があります。まだ数多く残る漆器関係の建物が織りなす、のこぎりの歯のように雁行した家並みが特徴的でした。
お昼に和歌山ラーメンを堪能したあと、和歌浦の温山荘園に行きました。ここは、ニッタ株式会社の創業者が建てられた庭園であり、庭園自体は国指定の名勝に、建造物が重要文化財に指定されています。
18,000坪にも及ぶ広さに驚きつつ、荘厳な雰囲気を感じました。園長さん直々に解説をしていただき、本館の細部にまで贅を尽くした作りを拝見しました。その後和歌山県の名産である梅酒の製造会社である中野BC株式会社の酒蔵見学に行き製造過程を見学したのちに試飲させて頂きました。
最後に紀三井寺を訪れました。和歌浦を一望する高台にあり、桜の名所としても有名である西国三十三国所第2番札所の観音霊場です。眺望は抜群であり、なにより、木造・寄木の立像仏としては日本最大という「大千手十一面観世音菩薩像」が印象的でした。2008年に作られたということで眩い金色に輝き、その大きさに圧倒され、この旅を終えました。

Bチームは、湯浅町から熊野古道紀伊路に沿って、白浜まで南下しました。紀伊路から中辺路に沿って、九十九王子と総称される神社(王子社)群が点在していますが、この内の幾つかの王子社やその跡地を巡りました。それぞれの王子社が現在も熊野古道の重要な景観の一部として、熊野古道沿いの水田や川、集落に寄り添うように佇んでいる様子が印象的に感じられました。
また途中、住民参加のWSによって再生された御坊市島団地を見学しました。生活が表出する立体集落の形成を目指し、3階レベルの回廊やあいまいで不整形な空間づくりなどがなされており、意図を感じる計画となっていましたが、住民にとっての使いやすさや必要な機能の担保とのバランス、管理や中間領域の利用を促すプログラムとの一体的な計画づくりに課題があるように感じられました。
旅の最後は、南紀熊野ジオパークのジオサイトでもある白浜の千畳敷を訪れ、荒波に侵食された岩盤の造る壮大な景観に感動し、帰路につきました。

Cチームは、湯浅町にて重要伝統的建造物群保存地区や歴史的風致維持向上計画の担当の方に、お話をお伺いしました。昭和50年代頃までは有田郡都としてにぎわっていたが、その後衰退しており、まちおこしという目標をかかげて町並み保存をめざしたそうです。北町ふれあいギャラリー、甚風呂(歴史民俗資料館)、休憩どころ、湯浅まちなみ交流館など、あちこちに少なくとも一部町有のスペースがあり、地元の方々がもてなし交流を行っていました。しかし公有化にも限界があり、観光振興にまでは結びついていないというのが課題で、それを突破するための広域展開が検討されています。
また、東日本大震災後に、6mから11mへと津波想定が変わり、伝建エリアのほとんども2m以上の高波に襲われてしまうが、根本的な対応はできていないそうです。
インタビューに答えてくださった町役場のご担当の皆様、どうもありがとうございました。

途中に立ち寄った、塩津の蒼石空間に驚嘆しつつ、旅を終えました。

来年の合同研究室会議でも良い議論ができるよう、精進しましょう。
京都大学の皆様、どうもありがとうございました。来年もよろしくお願いします。