地域デザインをめぐって vol.04 “松本”

松本市中心市街地を訪問して想うこと

柄澤薫冬 + 柴田純花

2014年10月15日、地域デザイン研究室一同で松本市を訪問しました。松本市建築士会、松本市役所の皆様に、中心市街地を1日かけてご案内いただき、勉強会にも参加させていただきました。修士1年の柄澤と柴田が松本訪問を振り返ります。

松本城とその周り/ 柄澤 薫冬

何度か大火にみまわれ歴史的な建造物こそ少ないが、街割りや蔵がそのまま残っていたり、外堀は埋め立てたことが逆に賑わいを生み出す側面もあったりして、想像以上にわくわくしながら歩くことができた。


▲外堀を埋め立ててできた縄手通りを歩く研究室メンバー。このスケール感や道・建物の感じが心地よい。

しかし、松本の街が良い分、松本城や三の丸周辺が残念に思えてしまった。天守やその周りの公園は観光・景観の目線ではとてもよい空間であると思うし、実際に観光客として自分が行き、とても過ごしやすかった。けれども、やはり松本での暮らしの面を考えると、観光と結びついてこない。松本城の前に二車線の道路を走らせることや、世界遺産登録をすることは、どうしても観光目線重視な感じがしてしまい、それができて住民がどう使うかがあまりイメージできない。三の丸に対して居住・生活を入れていきたいと市の方はおっしゃっていたのだが、観光目線の施策とそれとが矛盾してしまっているような気がして、もう少し生活の実態に則したものが三の丸にどう入ってくるか考えたいと思った。

その上で考えると、松本城は、もしかしたら地域の人にとって心のシンボル(≒愛着の対象)とはなっていないのではないだろうか。松本は地場産業もそこそこ残っており、おそらく観光で持続させていく街ではない。そうすると、松本城はあくまで地域資源であり、地元の人が自分の地域に愛着を持つためにある。愛着があることで、外に出てもまた松本に帰ってきてくれるようになり、地域が持続する。そこが重要なことなのではないだろうか。例えば、小さなものでも、何件かはしごして呑んだくれることができる、などは「愛着の持てる要素」となりうる。その時に、あくまで付加的に城がどう介在するか、どう愛着に影響するのか、考えることができたら面白いと感じた。


▲三の丸の街区割。町割りが大きく、中が空き地になっている。むしろここに生活やコミュニティのきっかけとなるポケットパークや市民農園などの可能性があるのかもしれない。

城下町から中心市街地へ / 柴田 純花

城下町都市を訪問する度に、地元である福井市と比較してしまう。今回の訪問地は、面積こそ違えど人口もほぼ同じ(松本市:24.2万人、福井市:26.7万人)で、若干の対抗心があった。訪問前の下調べの段階から「負けた」ような気がしていたが、実際に訪問してその念を強くした。

松本の中心市街地は、駅前の国道わたってしまえば広幅員の街路がなく、松本城まで空間が途切れることなく繋がっている印象を受ける。道路幅員と堀の浅さのためか、本丸と市街地の距離も近い。さらに、女鳥羽川と縄手商店街、善光寺街道沿いの蔵造りの建造物群、住宅地周りの湧水/水路・・・と魅力的な要素が凝縮されている。

 ▲女鳥羽川を向いたベンチでひとやすみ。縄手商店街にて。

勉強会ではまちなか居住についても話が及び、商業や観光だけでない中心市街地の空間像が求められていると感じた。中心市街地が「地域」の中で果たす役割を考える時、松本城下町の持つ様々な空間要素が新たな形で活きてくるのではないだろうか。今回の訪問は中心市街地のみだったが、松本市郊外部も訪問してみたい。

 ▲江戸期の絵図を重ねあわせた地図を手に、市街地を案内していただく。