空間計画設計論(2014年度)

1月16日発表分へのコメント

こちらの出題意図を汲み取り、丁寧に、具体的に応えているプレゼンテーションが多くて、今週も意義深かった。来週は発表者数が多いので、質問があまり受けられないかも知れませんが、発表頑張ってください。

・何
山口市大殿地区を対象に、街区割が継承されていることをリソースとリスクの両面から扱った。リソースを豊かに理解するためには、住民の方の御意見等を伺う必要があるかも知れない。異世代の居住やシェアが、まちなかであるからこそ実現する点に着目しているのは合理的。

・裴
津和野の美しい風景を活かしたアーティスト・イン・レジデンスの提案。川沿いの危険性を工房によって乗り越えることは倫理的に許されるのかという問いかけは重要。集落単位の空間形成過程や災害履歴をふまえると、アーティストが住んだり作品づくりをすることと、集落のリスクを下げる適地が見つかるかも知れない。

・古沢
地域とは、特定の場所に何らかの形で関わりをもつ人の和集合である、という定義を打ち出し、人にこだわった点が面白い。秋葉原の領域を人によって分解し(すなわち地域化し)、改めて地域同士のネットワークを構成することで、より迅速にまちづくりが展開するという提案。動かない主体の存在を、この提案が解決できているかは不明だが、新たな地域同士のネットワークは魅力的。

・金瀬
仙台を対象にして、交通網や緑のネットワークを説明した。やや突っ込んだ考察が足りなかったか。仙台という都市もしくは地域を如何に捉えようとしているのかという概念的な理解と、東西線の開通等の具体的な事象とを結びつけて考えることが大事。

・鈴木
東紀州地域を対象にして、丁寧な分析を図面を数種類つくりながら提示しているところはわかりやすかった。興味深いだけに、熊野市や尾鷲市という自治体単位ではなく、東紀州という単位をみることの意義や、南海トラフだけでなく、より頻度が高い土砂災害への対応との統合や止揚も配慮してほしかった。

・國賀
横浜の港北ニュータウンを対象に、コミュニティの分断という危機が語られたが、その程度についてはどれ位なのだろうか。緑端会議というネーミングやスロー生活というのにぴったりの絵は良い。港北ニュータウンのグリーンマトリックスは歩行者空間設計の非常に重要な手法なので、皆さん、知ってください。犯罪や防犯との関係についての質問も良かった。

・北川
雄琴温泉の風俗と宗教施設が、地域の文脈をふまえずに出現していることを整理し、空間的な共存を提案しているが、京都から規制によって風俗が閉め出されてきた等のディティールが詰められているので、全体的に説得力がある。住民にとっての地域と非住民にとっての地域を一致させるという考え方を据えながら、風俗や宗教施設の位置づけを抽象的に、もう一つ補完できるとなお良かった。

・山田
洲本を対象にして、昭和3年、45年、平成5年から今への都市形成の過程を、現状の土地利用に対する疑問からはじめて、提案までもっていく論理展開が素晴らしい。中心市街地活性化を一社がリードしている現状を評価しながらも、次への展開の必要性を提示していることや、取り残されたからこそのレトロ推しという理解も納得。海との連携とは具体的に何でしょうかね。

・中島
本郷キャンパスの歴史的建築物と新デザインの融合について、建築物レベルだけでなく、歴史的な軸をふまえた場所性について考察が欲しい。大谷幸夫先生の総合図書館前広場のデザインをはじめとする実例にも多くのヒントがあるので読み解くと面白い。

・矢田
域という概念を、活動の中で認識する領域として位置づけ、認識そのものをもったり共有することによって、域がひろげていける、そのためのローカル・デザイン・センターの提案は、亡き北沢猛先生のアーバンデザインセンターと重なる。論点をたくさん提示していたが、全体がつながっていたので、質疑も盛んだった。

窪田亜矢