#63

7月15日未明,張りつめた静けさが博多の街を覆う.
まだ夜も明けぬ午前3時前より,博多総鎮守櫛田神社に見物客が集まってくる.
皆が見つめるのは,午前4時59分に始まる追い山を待ちわびる8つの山笠である.
778年前に疫病を治めるために始まった博多祇園山笠は,
幾多の中止の危機を乗り越えて現在まで受け継がれてきた.
男達は1トン以上もある山笠を舁きながら5kmものコースを30分で走り抜ける.
その勇姿を一目見ようと約300万人もの人々が早朝の博多の街を埋め尽くす.
僕は3年前に群衆の中から見た追い山に感動し,2年前から山を舁く側に回った.
「都市は書物である」とは都市計画の大家である西村先生の言葉であるが,
「博多」という書物に欠かせない要素である山笠に関われていることを,
3年目の新参者ながら誇りに思っている.
例年山笠の終わりと共に梅雨が明け,博多の街に本格的な夏が訪れる.
そして男達は来年の山笠の支度を始める.
「博多」という書物を書き続けるために.

2019.4.18 S.Morisaki