#5

下北沢の踏切が一番賑わった日

 嫌われたはずの開かずの踏切が、みんなから最も愛された日。かつ、その踏切が役目を終えた日。
まちを構成するひとつひとつは、やがて消えていく。どう消えるか、どう死ぬか。あるものは役目を果たし終え、あるものは不慮の災害で喪われ、あるものは社会経済の波に押し出される。
まちをデザインするということは、人生設計のように、死生観のように、多様で定まらないものなのかもしれない。

それでも、病気を予防し事故から身を遠ざけ、人生を全うしやがて遺志を継いでいくという、自分の人生には当たり前のように求めることが今、果たしてこの都市に適用できているのだろうかと、皮肉な踏切の賑わいは、縮小時代のひとつの問題提起となって立ち現れた。

2014.8.19. M.Nagano

 #5「下北沢の踏切が一番賑わった日」の永野真義さんは、2011年3月、修士プロジェクトによって都市デザイン研究室を修了し、株式会社日本設計に勤務。都市工演習ジュリーでは、奮い立たせられるコメントをいただいた学生さんも少なくないはず。
有限性に向き合わねばならないのは一人一人の主体ですが、その時間を共有することはできます。永野さんの一枚からは、そんな時間の、切なくも豊饒な高揚感が伝わってきます。(窪田)