#47

「風の電話」でお話したい人がいて家族と訪れた岩手県大槌町の小さな山の上、海を望むガーデンは、『もうあえなくなったひとに、じぶんのおもいをつたえると、かならずそのひとにとどく‥‥‥』(✳︎1) 場所であり、『被災地の何もない殺伐とした環境が、子供たちの将来に問題を残すことにならないかと感じた』(✳︎2) Sさんご夫妻が、地域内外の方々と共に、子供たちがのびのび過ごせる環境を少しずつ、手づくりしてきた場所でもある。ガーデンの一番高いところにつくられたキッキの森のツリーハウス(✳︎3) 前で、偶然一人の少女に出会った。大槌保育園のみんなとここに来て遊んですごく楽しかったんだよということを無邪気な笑顔で話してくれた。あの日のことを鮮明に憶えている長女と、あの日離乳食を始めてまもなかった次女と、ちょうど間の年齢の彼女とは、一瞬で友だちになり、時間を忘れて遊び、ガーデン内の図書館 やハンモックなどあちらこちらで本を読んで過ごした。子どもも大人もそっと受けとめ、生きてゆく力を育んでくれるこんなに優しい場所があるだろうか。

2017.12.1 C.Ishiyama

(✳︎1) いもとようこ(2014.2)「かぜのでんわ」(金の星社)
(✳︎2) 佐々木格(2017.8)「風の電話ー大震災から6年、風の電話を通して見えること」(風間書房)
(✳︎3) 震災後、仮設住宅に閉じ込もりがちになった男性の皆さんの協力を得て建築(Sさんお話より)