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十津川村 高森のいえ

 東日本大震災の半年後、2011年9月に起きた紀伊半島大水害は、紀州半島の十津川村に大規模な災害をもたらした。ここでは、明治22(1889)年の十津川大水害で被災後1か月以内に2,600人の村民を北海道に移住させ、新十津川町を開拓した経験を持つが、今回は、地場産材の利用を主眼とした村内での、仮設住宅、復興住宅の建設が行われた。それに加え、自然に山間の集落が限界化しつつあることをを踏まえ、ここでは、復興よりも一歩進んで早めの村の集約化と孤立化防止と新たな世代の移住を見込んで、「誰もが最後まで村で暮らす」しくみづくりの一環として、地優賃制度を使った「高齢者向け住棟」と「一般向け住棟(子育て世帯用)」、地域福祉のためのセンターを、村内唯一の特養の隣の村有地に建設することになった。写真の左奥のピラミッドが特養のトップライト、その下の切妻が地優賃、右上奥の戸建が復興公営住宅、写真中央の回廊は右側の(写真には写っていないが)センターへと続く。これらの施設が、高森という既存集落にはめ込むように(インフィル型)挿入されている。

ささやかな試みではあるが、災害復興を機に、新たなハウジングの手立てで、新たな居住の循環を作り出そうとする、大変意欲的な試みである。

2017.3.24 T. Ohtsuki